排尿行為が正常に行われていない状態を排尿障害と言います。この場合、蓄尿症状（頻尿、尿意切迫感、夜間頻尿、腹圧性尿疾患 など）、排尿症状（尿勢低下、尿線途絶 など）、排尿後症状（残尿感、排尿後尿滴下 など）といった症状がみられていて、これらが長い期間続くということであれば、患者様の生活の質（QoL）を著しく低下させることにもなります。
また排尿障害というのは、何らかの病気（前立腺肥大症、過活動膀胱、腹圧性尿失禁、神経因性膀胱、間質性膀胱炎 等）を発症することで起きるケースもあります。この場合はさらに放置が続くようになれば、重篤化してしまうこともあります。膀胱や尿道に異常がみられるという場合は、一度泌尿器科をご受診ください
排尿障害でよく
見受けられる症状
頻尿
排尿回数が増加している状態を頻尿と言います。そもそも排尿回数というのは、個人差が大きく、また年齢、季節、水分の摂取量といったことでも異なるようになりますが、成人の場合の平均的な排尿回数は日中で4～6回程度とされ、これが8回以上あるという場合は、頻尿が疑われます。
頻尿の原因はひとつではありません。いくつか挙げていきますと、まず器質的な膀胱容量の減少です。これは膀胱に貯められる尿量が物理的に減少する、膀胱の伸展性が低下するといったことによるものです。主に腫瘍や妊娠によって膀胱が圧排されるなどして起こると言われています。また、過活動膀胱、尿量が何らかの原因（尿崩症、糖尿病、心因性多飲症 など）で増加してしまう多尿による頻尿、尿排出障害（神経因性膀胱などが原因）によって残尿が生じ、蓄尿できる量が減少することで起きる機能的な膀胱容量の減少のほか、膀胱炎や膀胱結石などによって膀胱粘膜が刺激されることで起きる頻尿というケースもあります。
夜間頻尿
就寝してから起床するまでの間に排尿によって1回以上起きたという場合を夜間頻尿と言います。これは膀胱から尿道までの下部尿路では、最もよくみられる症状でもあります。
原因としては、多尿（成人の尿量は1日平均1000～1500mlで、それ以上ある場合。原因としては水分の過剰摂取、尿崩症や糖尿病などの疾患の影響）、夜間多尿（夜間に産生排尿される尿量が330～500ml以上の場合、原因としては薬剤性多尿、水分の過剰摂取、睡眠時無呼吸症候群、高血圧などが考えられる）、膀胱の容量が機能的に減少している状態（前立腺肥大症や過活動膀胱といった膀胱畜尿障害、睡眠障害 等）が挙げられます。
夜間頻尿によって、患者様の生活の質（QoL）が著しく低下し、症状を何とかしたいと希望している場合に治療が行われます。この場合、まずは原因となる基礎疾患を確認してから、生活習慣を見直していくようにします（水分やカフェイン、アルコールなどの摂取方法などについて）。
